街を歩いていてどきどきこんなシーンを目にします。いや、そんな大げさなことじゃありません。寒い夜の道を居酒屋を目指して歩いていて、その途中で門の明かりで投影された影のイメージです。
しばしぼんやり眺めました。 元々夜が好きなのです。陰影が好きです。夜の感じが光で演出された時、とてもドラマチックに感じます。これは本当に、普通に何でもない光景なんです。多分多くの人は振り返りもしないでしょう。探せばいくらでもありそうですし。でもその時の私には新鮮でした。なんだかシルエットの人形劇のようです。
絵を描いている人の多くは、実は世間に出ることもなく終わります。私もその一人です。つまりは平凡な才能であることに気付かず甘い未来を妄想した。いささか過剰な表現かも知れませんが、当たらぬと言えどもです。一体どれだけの時間と労苦、そして金銭を使ったでしょう。もうちょっと他のことができなかったのか、この頃はいつもそんなことを考えています。
過去のことですから考えてもしょうがない。それはそうです。それに一時は商業美術で本当にささやかではあるのですが一応は仕事をしましたから、完全に無駄だったとは言えません。しかし多くはどうだったろう。
後悔しない人生なんて言いますが、あれってどんなものでしょうね。そう言っている人も果たして本音かな。ちょっと怪しんだりしないでもありません。
しかし私はそのことを否定的には捉えません。むしろそうしたものだと考えるのです。世間の多くの人は著名になることと金銭面でしか物事を判断しません。つまり成らないまま多くの人は終わっていくのです。それでもどうにかこうにか生きていく。私もその一人であったに過ぎず、別にそのことを無理に悔いのない人生にする必要はないと思います。
悔いがあったっていいじゃないですか。人はそんなに立派じゃない。立派でなくて良い。そして立派じゃないまま終わる。それでどこが悪いと居直る必要もない。ただ悔いるのは、どこかで捨てられなかったということかな。必ずしも絵と言うことでなくて…。
ほんの数分でもない時間、そんなことを思いながら眺めて去りました。
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